Click-a-法話(20): 一茶に見える「淨土の俳句」
このたび、Pure Land Haiku: The Art of Priset Issa 「浄土俳句: 一茶坊のアート」と言う書を出版させていただいた。これはニューオリンズの大学教授デビィッド・ラノー博士の長年の研究成果である。俳句の英訳はもちろん、教授の適確な解説も、一茶の心を十二分に理解したものである事に驚かされる。教授は一茶の残した俳句2万句を半分以上も既に英訳しホームページで提供している。彼は学生時代に一茶の句にふれ、以来小林一茶の研究に没頭されて来たのである。
今回出版させていただいたこの書は、佛教の入門書とも言えるようにすら見える。序章の「一大事」に始まり、第1章の「雲水」から「人情・世態・無常・自然・縁・念仏他力」といった各章に一茶の句が上手く解説されている。アメリカ人学者の一茶研究の成果である。
この書の各章に紹介されている俳句は300首近いが、それぞれ3行にうまく英訳されており、原文は日本語で表記されているので、英語があまり得意でない日本人にとっても有り難い本である。
俳句が英語にならないとか佛教を英語に翻訳するのは困難であると長年言われてきた。言葉の限界は全ての言語について同じであろうが、英語で、俳句の心や佛教思想の真髄を表現できないはずはない。この書はその一例であり、著者の一茶への憧憬が、一茶の心を見事に英語圏の人々に伝えることの出来る事を示してくださった事が喜ばしい。
アメリカ佛教(英語圏佛教)がここまで来た事が、この一茶の俳句の英訳解説書を通じて計らずも証明してくれる事となった。日本に生まれても、一茶の俳句を理解出来ない世代も多くなってしまった昨今、英語を母国語とするアメリカ人が、一茶に惚れ込み、一茶の心を世界に紹介する役割を果してくださる現実に対し、日本人はどのように感ずべきであろうか。
一茶の生きとし生けるものに対する慈しみの目は、一切衆生悉有仏性の心であり、人種民族を超えて、心ある人々の共感を得られるものであった。そして、一茶は自然(じねん)の生き方を通じて、お念仏の心に開眼されたのであった。
「スズメの子、そこのけそこのけ、お馬が通る」
「弥陀佛の、見ておわす也、ちる桜」
一茶万歳
İEikyoji、2004